コラム
1997年1月3日のテレビ欄(出典:『テレパル』第1号・東版)

中居正広と木村拓哉の殴り合い、そして和解……キラッキラのSMAP青春群像劇~1997年『僕が僕であるために』より/懐かし番組表

懐かし
1997年1月3日のテレビ欄(出典:『テレパル』第1号・東版)

地上デジタル放送化に伴い、テレビ番組表というものから遠ざかってしまった人もきっと数多いだろう。WEBメディア『テレビPABLO』では、そんな大人のためにかつての番組表を紐解きながらタイムトリップをお届けしたい。ウン年前の今日、夢中になって観ていたテレビは何だったのか? テレビ情報誌『テレパル』(小学館刊)の番組表と共に、当時の世相を振り返ってみよう――今日は1997年1月3日にタイムスリップ。

ここ数年、ドラマ枠が減る傾向にある年末年始だが、今夜21時には3つのスペシャルドラマが並ぶ、NHK総合が薬師丸ひろ子、小泉今日子の『富士ファミリー2017』、テレビ朝日が沢口靖子、内藤剛志の『科捜研の女・正月SP』、フジテレビが櫻井翔、長澤まさみの『君に捧げるエンブレム』。

フジテレビの1月3日21時は、『新春ドラマスペシャル』と銘打った年始恒例のドラマ枠。2012年の『もう誘拐なんてしない』(大野智)、2013年の『ラッキーセブン』(松本潤)、2014年の『鍵のかかった部屋』(大野智)、2015年の『大使閣下の料理人』(櫻井翔)、2016年の『坊ちゃん』(二宮和也)と、ずっと「嵐」のメンバーが主演している。

では20年前はどうだったか。今日は20年前、1997年1月3日の『テレパル』番組表のフジテレビ21時には、『新春ドラマスペシャル 僕が僕であるために』がある。この前年に『SMAP×SMAP』の放送が始まり、国民的スーパーアイドルの座を不動のものとしたSMAPが、5人揃って出演した青春群像的だ。主題歌は尾崎豊の『僕が僕であるために』。

1997年1月3日『新春ドラマスペシャル 僕が僕であるために』(フジテレビ)/SMAP5人に鈴木保奈美、松たか子、瀬戸朝香、鶴田真由、広末涼子がからみ、唐沢寿明や岸谷五朗がチョイ役という贅沢な夜

  • 『テレパル』1997年第1号・東版の表紙
  • 『新春ドラマスペシャル「僕が僕であるために」』(フジテレビ)/1997年1月3日のテレビ欄(出典:『テレパル』第1号・東版)

成瀬隼人(中居正広)、黒澤力(木村拓哉)、木下正己(稲垣吾郎)、溝口悦郎(草なぎ剛)、小津悟(香取慎吾)の5人は、静岡県沼津市の高校駅伝部の仲間。1990年の大会で見事優勝……それから6年後の東京を舞台に物語が始まる。

高校最後の大会で最終走者を務め、靴が脱げながらも裸足で走りぬいた成瀬は、長距離界のスターとしてスポーツメーカーに就職し実業団チームに所属、5人で唯一の現役ランナー。黒澤力は実力は成瀬と変わらなかったが、注目が成瀬に集まったことから走ることをやめ、現在はタレント事務所のスカウトとして街で若い女性を勧誘する生活。実家が医者の木下正己は医大に通い、小児科医を目指している。溝口悦郎は信用金庫勤務で地道に働いている。この4人の後輩の小津悟は強い学歴コンプレックスを持つフリーター。

木村拓哉の同棲相手に鶴田真由、中居正広の妹に広末涼子、稲垣吾郎と同じ大学に通う医大生に瀬戸朝香、草なぎ剛が結婚を意識している恋人に松たか子、香取慎吾が恋する年上の女性に鈴木保奈美という実に豪華なキャスト。木村拓哉がスカウトした女性を本人の了承なしにAVに送り込んだことで彼を逮捕する警察官に唐沢寿明、ラストのほうでいい味を出す焼き芋屋さんに岸谷五朗、木村拓哉の父に植木等など、まさに主演級がSMAPを盛り立てた。

5人が1つになって優勝を勝ち取ったのはもう遠い過去。それぞれ別の道を歩み、それぞれに違う悩みや問題を抱えて生きている5人は、友情を取り戻せるのか……といったテーマに向かって物語は進んでいく。

関東ではSMAP解散を目前にした昨年12月10日に再放送された。この時期に観るとぐっとくるものがある。

物語終盤、草なぎ剛は死んでしまうことになるのだが、恋人の松たか子が残りの4人に会って草なぎ剛から聞いていたそれぞれのキャラクターを語る場面。「高校時代のみなさんのことはいつも聞いていた」という松たか子のセリフを、役名から演じたメンバーに変換して再現するとこうなる。

「吾郎ちゃんはクールそうに見えるけど、人の気持ちのわかる、優しいところいっぱいあるんだよって」
「慎吾ちゃんはあのまんまで十分かっこいいのに、すぐいじけちゃうとこがあるって、自分の弟みたいに愛おしそうに心配してました」
「木村さんは大会のとき4人抜きしたんですよね。自慢だったみたいですよ、木村さんから受けたタスキを、中居さんに渡したこと。2人の間を一生懸命走って、僕が、木村と中居の間をつないだんだよって……」

それともう1つ。ぎこちなくも友情を取り戻した木村と中居が、競技場のスタンドで2人きりで会った場面。木村が中居に向かってこう言った。

「あのねぇ。世の中のみなさんがお前に注目したのは、オレらが一緒に走ったからだろ。(中略)あの時の金メダルはお前だけのものじゃないのよ。(中略)証明しろよ。オレらが一緒じゃなくても走れるってこと。次の大会でさぁ」

最後に、スタッフロールと尾崎豊の歌声をバックにこのナレーションで終わる。

「熱い興奮と自らの誇りを胸に刻んだあのひあのとき
僕たちは、たしかに風の中にいた。
そしていま、僕たちは別々の道を走っている。
いつか再びめぐり会う最高の瞬間のために。」

※ドラマ『新春ドラマスペシャル 僕が僕であるために』(フジテレビ)より

20年前、たしかにこんなドラマがあった。キラキラしたSMAPはそれからテレビの世界を縦横無尽に走り続けた。それぞれの道を歩むことになる5人に、いつか再びめぐり会う、最高の瞬間が訪れるだろうか。

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コラムニスト

亀井徳明

亀井徳明

『テレパル』創刊準備のために編成された、テレビ局専門取材チーム「ISプレス」の元メンバー。各テレビ局ごとに担当がおり、毎日テレビ局の広報や宣伝部を拠点に局内を徘徊、情報収集。「その日に仕入れた情報はその日のうちに処理する」ことが宿命だったため事務所は“不夜城”となっていた。「テレビPABLO」では、その頃の経験に基づいた「懐かし番組」などを執筆中。現在はフリーで活動している。

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