コラム
1992年1月11日のテレビ欄(出典:『テレパル』第2号・東版)

沢口靖子と石田ゆり子 キレイなアラフィフ25年前のドラマは内館脚本の打算OL~1992年『…ひとりでいいの』より/懐かし番組表

懐かし
1992年1月11日のテレビ欄(出典:『テレパル』第2号・東版)

地上デジタル放送化に伴い、テレビ番組表というものから遠ざかってしまった人もきっと数多いだろう。WEBメディア『テレビPABLO』では、そんな大人のためにかつての番組表を紐解きながらタイムトリップをお届けしたい。ウン年前の今日、夢中になって観ていたテレビは何だったのか? テレビ情報誌『テレパル』(小学館刊)の番組表と共に、当時の世相を振り返ってみよう――今日は1992年1月11日にタイムスリップ。

25年前の今日、1992年1月11日は土曜日。この日の『テレパル』番組表からは日本テレビ21時『…ひとりでいいの』をクローズアップする。日本テレビの土曜21時が“土9(ドック)”と言われるようになって久しいが、25年前の時点ではそういう言い方はなかった。『熱中時代』や『池中玄太80キロ』など超人気シリーズを生んだ日本テレビ伝統のドラマ枠ではあったけれど、バブル期のこの枠はF1層を対象にしたトレンディー風味の恋愛ものもかなりやっていた。

ひとくくりに“トレンディードラマ”と言っても、フジテレビにはフジテレビの、TBSにはTBSの、そして日本テレビには日本テレビのカラーがあって、そのテイストの違いは今よりずっとわかりやすかった。“土9”がティーンをターゲットにする少し前の“日テレ版トレンディードラマ”はどんな内容だったのか。

主演は沢口靖子。脚本は内館牧子、主題歌は氷室京介『Urban Dance』。この組み合わせで描いたトレンディーな世界はどんなものだったのか。

1992年1月11日『…ひとりでいいの』(日本テレビ)/25年前、“日テレ版トレンディードラマ”で恋に一直線な役を演じた沢口靖子と石田ゆり子

  • 『テレパル』1992年第2号・東版の表紙
  • 『…ひとりでいいの』(日本テレビ)/1992年1月11日のテレビ欄(出典:『テレパル』第2号・東版)

北川まどか(沢口靖子)は商社に勤めるOL。美人であることを武器に玉の輿を狙っていて、実際にモテるので周囲の女性社員からは疎まれている。まどかはそんなことは気にせず、社の若手エリートで家柄もよく女子社員からの人気も高い星野太郎(別所哲也)の心をつかみ、玉の輿寸前に。そこに海外から赴任してきた新しい上司・津村剛彦(村上弘明)が現れると、まどかは星野との婚約を破棄してターゲットを津村に変更する。しかし、津村には妻子がいる上、職場のお局・青山寿子(かたせ梨乃)とも関係があるようで…。

とにかくまどかは欲望に一直線。当時は“KY”という言葉もなかったが、明らかに職場で浮くタイプで、来ている服も他の女子社員から「毎日謝恩会みたい」と言われても気にしない。男性社員にお茶を出すときも「カフェオレ、まどか味でーす」「コーヒー、まどか味でーす」と、堂々と男に媚びる。ただし、ただの玉の輿狙いだけなら星野で十分なのに、あえて津村というワケあり物件に飛びつくあたり、本当に計算高いとは言えない点が憎めないところ。

ヒロインは沢口靖子だが、石田ゆり子が演じた山下ルミ子の恋も同時に描かれていて、こちらもやきもきさせるものだった。ルミ子が恋したのはまどかの兄で暴力団組織の幹部・北川真一(美木良介)。ルミ子には大学院生の恋人がいたが、ルミ子はクールで紳士で男気あふれる真一にあっさり乗り換える。そして真一に猛アタックを仕掛けるのだった。ちなみに石田ゆり子にフラれる情けない大学院生を演じたのははブレイク前の渡部篤郎。

ヤクザを美化しすぎたキャラクターとはいえ、とにかく美木良介が登場人物の中で群を抜いてかっこよかったし、それを一途に愛する石田ゆり子がチャーミング。この2人の物語だけでも成立しそうなほどの存在感を放っていた。

1990年の『思い出にかわるまで』と『クリスマスイブ』、1991年の『あしたがあるから』と、TBSのドラマで立て続けに“ドロドロ劇”を描いてきた脚本の内館牧子。この『…ひとりでいいの』も設定ではドロドロになりそうなものだったが、内館脚本にしては残念ながら薄味。もしかしたら沢口靖子というヒロインに、ドロドロが似合わなかったのかもしれない。しかし、男の存在によって変わっていく女、女の存在によって変わっていく男というものを、自然に見せたのはさすがの切れ味。

沢口靖子と石田ゆり子。このドラマで共演したまったく立ち位置のちがう女優は、四半世紀後の今も第一線で活躍し続けている。沢口靖子が主演する『科捜研の女』(テレビ朝日木曜20時)は1999年から現在も続いている人気シリーズで、現在も第16シリーズを放送中。石田ゆり子は昨年『コントレール~罪と恋~』(NHK総合)と『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)でまったく違うタイプの役を演じ、アラフィフの星とまで言われるほど注目されている。

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コラムニスト

亀井徳明

亀井徳明

『テレパル』創刊準備のために編成された、テレビ局専門取材チーム「ISプレス」の元メンバー。各テレビ局ごとに担当がおり、毎日テレビ局の広報や宣伝部を拠点に局内を徘徊、情報収集。「その日に仕入れた情報はその日のうちに処理する」ことが宿命だったため事務所は“不夜城”となっていた。「テレビPABLO」では、その頃の経験に基づいた「懐かし番組」などを執筆中。現在はフリーで活動している。

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