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ラリー遠田の"テレビのひとコマ"

南原清隆「また結婚したの!?」/ノリノリ紀香と結婚・離婚…陣内智則の“鈍感力” 『ヒルナンデス!』

『ヒルナンデス!』/2017年6月30日放送・日本テレビ系

少し前に『AKB48選抜総選挙』の舞台上で結婚発表をした須藤凜々花が世間を騒がせたことがあった。OBの大島優子がこの発言に憤り、帽子に記された「FUCK」の文字を示すと、須藤は報道陣の前に「DAMN」と書かれたTシャツ姿で現れた。『フリースタイルダンジョン』でもなかなか見られない、アイドル同士のヒップホップなディスり合いはさまざまな憶測を呼んだ。

その後もノリに乗っている女性たちの暴走は止まらない。「このハゲ!」という秘書への暴言・暴行疑惑で一気にスターダムを駆け上がっていった「まゆゆ」こと豊田真由子議員、応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」というスケールの大きい失言芸を見せてくれた「ともちん」こと稲田朋美防衛相など、レペゼンニッポンの女性政治家たちもアイドルに負けないくらいドープでイルなリリックを紡いでいる。

芸能界でそんな「ノリノリ系女性タレント」の元祖とも言えるのが藤原紀香である。何しろ、現在も絶賛更新中のブログのタイトルが「☆気愛と喜愛でノリノリノリカ☆」である。字面を見ただけで思わず汗ばむほどの暑苦しさ。プロフィール欄の名前には「☆のりぞう☆のりかっち☆のりねえ」とある。もうたくさんだ。

そんな彼女が2006年に陣内智則との結婚を発表したとき、陣内に対する世間の印象は「すごい」とか「うらやましい」ではなく、「大丈夫か?」のほうに近かったのではないかと思う。太陽のように燃えさかる「ノリノリノリカ」の情熱を、一介の若手芸人である陣内がどこまで受け止めきれるのか。特にお笑いファン界隈では、不安の声のほうが大きかったように記憶している。結果は、皆さんもご存じの通り、いろいろあった末に2人は別々の道を歩むことになった。

そんな陣内が二度目の結婚を発表した。6月30日放送の『ヒルナンデス!』では、報道を受けてオープニングからその話題になった。もちろん、南原清隆、有吉弘行という先輩たちに囲まれた陣内は、ひたすらイジられる側に回ることになる。南原はスタッフから花束を受け取って、「おめでたいニュースがありました!」と告げる。そして、有吉やカズレーザーに「何かあった?」と話を振るが、それぞれボヤッとした返答しかできない。そのやりとりをしばらく眺めた後、業を煮やした陣内が南原に向かって叫ぶ。

「結婚したんや!言わすな!」

これを受けて、南原は驚いた表情を見せて言った。

「また結婚したの!?」

日本中の視聴者が陣内に直接言いたかった一言を、南原が見事に代弁してくれた。二度目の結婚の相手はフジテレビの松村未央アナウンサー。前回のときほど「ノリノリ」な相手ではないことが救いかもしれない。

陣内は不思議な芸人である。そのキャリアを振り返ってみても、器用なのか不器用なのかよく分からないところがある。リミテッドというコンビを組んでいた時代には、大阪の若手お笑いシーンでは「面白くない芸人」の代名詞のような存在だった。また、天然キャラとして先輩にイジられる機会も多かった。コンビ解散後、あらかじめ用意した音声にツッコミをいれていく新しい形のピン芸が評価され、少しずつ人気が高まっていき、司会としても活躍するようになった。

その後、藤原紀香との結婚・離婚を経て、世間からの猛バッシングを受けたり、それをネタにして芸人たちからイジられたりしながら、現在に至っている。先輩芸人や大物タレントにも気に入られ、芸能界をうまいこと渡り歩いているようにも見えるし、何か大事なところが抜けているようにも見える。

視力の悪かった陣内は、黒いゴミ袋を黒猫と見間違えてずっと話しかけていたという逸話を持つ。この種の「視力の悪さ」に通じるような「鈍感さ」が、良く言えばスマートに見えるし、悪く言えば無謀に見えるのだろう。あの藤原紀香と結婚するなんて、何らかのタガが外れていなければできないことだ。元気な女性たちの「ノリノリ化」がますます進行するこの日本では、男性は陣内ぐらいの程よい鈍感力を備えているほうが生きやすいのかもしれない。

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コラムニスト

ラリー遠田

ラリー遠田

1979年生まれ。東京大学文学部卒業。作家・ライター、お笑い評論家として執筆、講演、イベントプロデュースなど多方面で活動。主な著書に『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)がある。『ヤングアニマル』(白泉社)に連載中の漫画『イロモンガール』の原作を手がける。

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