インタビュー
「地下アイドル」にテンションが上がるモグラ(山里亮太)/『ねほりんぱほりん』-(C) NHK

『ねほりんぱほりん』の中の人が語る――第4回:NHK vs ネット特定班…「匿名性」めぐる仁義なき戦い

「地下アイドル」にテンションが上がるモグラ(山里亮太)/『ねほりんぱほりん』-(C) NHK

攻めの姿勢でタブーとされる話題に果敢に斬り込んでいくトーク番組『ねほりんぱほりん』(NHK Eテレ)が話題になっている。毎回ほかでは見られないテーマでゲストを招き、MCの山里亮太(南海キャンディーズ)とYOUと共にトークを展開する。それぞれがブタとモグラの人形に扮して、終始人形劇の形で進められるという演出も、一度見たら忘れられない。この番組はどうやって作られているのか? ディレクターの藤江千紘氏に話を聞いてみた。

<1人目の中の人:大古滋久(チーフ・プロデューサー)>

第1回:「ネットの人たちを振り向かせたい」

第2回:“闇と嘘”を見極める取材力

第3回:予言はガチ! 3月でレギュラー放送終了のワケ

「プロ彼女」「偽装キラキラ女子」「元薬物中毒者」――極端な生き方にも“ひらたい目線”

――番組で扱うテーマ選びの基準を教えてください。

藤江:基本的には、顔を出してはあまり聞けないような話をしてくれて、今まであんまりテレビで扱ってこなかった人ですね。世間で噂になっていたり、ネット上で囁かれたりはしているけれども、実態をあんまり聞いたことがない、っていう人を中心に選んでいます。NHKのドキュメンタリーで過去にやっているようなネタを扱うときは、できるだけ取り上げないような角度や切り口から攻めるようにしています。

ただ、例えば「元薬物中毒者」は『クローズアップ現代+』など他の番組でやっていたこともたぶんあると思うんですけど、そういう場合にはもっと社会問題としての視点で取り上げているじゃないですか。テーマ自体はやっていても「実際のところ、やってみるとどんな感じなのよ」「彼氏とかどうなったの?」ってひらたい目線で、個人の欲望や幸せ、人生についてあんまり聞いたことがなければ取り上げることはあります。あとは20~30代の人の間でSNSで話題になっている人とか。

――その世代をターゲットにしているんでしょうか。

藤江:もともと、SNSなどネットは見ているけれどテレビを見ていない人、特に20~30代に刺さる番組を、と思って開発しました。最初は、ネットで話題の論客とかを人形にして出す、っていうことから考えて。そこからいろいろアイデアを練って、「気になるけど詳しくは知らなくて、実際のところどうなんだろう?」とか、「知りたいけどさすがにこれはどこも報じられないよね、タブーだし」っていうのをNHKがちゃんと取材した番組を出す方が、表面的にネットに寄せた番組をつくるよりも、ネットをよく見ている人にも結果的に刺さるものになるんじゃないか、っていう風に思って、現在の形になりました。

――初期の頃から「プロ彼女」とか「偽装キラキラ女子」とか、ネットの一部でものすごく話題になっているようなテーマが目立っていましたが、意識してそういうテーマを選んでいたということでしょうか。

藤江:そうですね。この番組の企画を考えた2014年秋頃は「プロ彼女」っていう言葉はすごく話題になっていたんですけど、「見たことはないけど、こういう人なんじゃないか?」とネット上に憶測がとびかっているような状態だったんですよね。そんな人をちゃんと取材して話を聞いたら意外と面白いんじゃないかな、って。一見すごく極端な生き方をしている人のように見えるけど、よく話を聞いたらひょっとすると今の時代を生きている20代のある一部の女性のリアルな本音が分かるような気がしたんです。「何だよ、プロ彼女って?」って局内の人には言われましたけどね。「聞いたことがない」っていう意見もありましたし、「そんな人、いるの?」とも言われました。

――実際、番組を見ていても「こんな人、本当にいるのかな?」って疑ってしまうようなところもありますね。

藤江:やっぱりそうやって疑いの目をかけられやすいと思うので、他の番組以上に取材はちゃんとするようにしていますね。その人が言っているだけで実態は伴っていないというケースも100%ないとは言い切れない、っていうのもあるので。

例えばプロ彼女だったら、取材には時間をかけて取材相手と信頼関係を築いていって、最終的には携帯のやりとりとか、その方のPCに入っている2ショット写真とかを見せてもらって、これは“愛人”じゃなくて“彼女”だと言える関係だ、っていうのを確かめたんです。「プロ彼女」の取材では、番組に出ていただいた人に決まるまでに候補の方に何人も会ったんですけど、「これは1回そういう関係になっただけだよね」とか、「これはただの愛人だよね」とか、結構いろいろな人がいまして。でも、じっくり話を聞いてみないとそれは分からないですからね。顔を出さなくていいからいくらでも嘘がつける番組、って思われてはいけないので、ちゃんとウラどりをするようにしています。

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インタビュアー

ラリー遠田

ラリー遠田

1979年生まれ。東京大学文学部卒業。作家・ライター、お笑い評論家として執筆、講演、イベントプロデュースなど多方面で活動。主な著書に『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)がある。『ヤングアニマル』(白泉社)に連載中の漫画『イロモンガール』の原作を手がける。

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